「生涯投資家」村上世彰

感想

2000年代初頭、なにかと世間を騒がせていた村上ファンドで知られる、村上世彰氏の著書

「生涯投資家」を拝読しました。

久しぶりに、止まることなく読み終えてしまうほどに面白く、非常に勉強になる一冊でした。

当時、私はまだ成人しておらず、繰り返し報道されていた、村上ファンド・ライブドア関連の事件については、なぜ村上氏が悪者にされているのか、全くわかりませんでした。
なんとなくの感覚で、出る杭が打たれたなという印象をこの著書を読むまで持っていました。

この本では、それらの事件や騒動に対して当事者の目線で核心に迫っており、また投資家・村上世彰としての志や想い、日本企業に対してそのあり方などが書かれています。
村上氏に対してはあまりいい印象を持っていなかった方は、その考えを改めさせられることになるでしょう。

コーポレート・ガバナンスという、投資家が経営者を監督する仕組みを利用し、企業が、ROE(投下資本利益率)高めるために自己株式の取得、配当などで投資家へ還元することや、設備投資など積極的に行うことを要求していくことが重要であると説いています。
決して自身のお金儲けのためにこう説いているわけではなく、投資先の企業の成長そして、日本経済の成長へ導くためなのです。

2015年にコーポレートガバナンスコードが制定され、今でこそ聞くようになってきましたが、00年代より重要性を訴え続けていた村上氏に、やっと時代が追いついてきたというところでしょうか。
しかし、日本ではまだまだこのような考えに程遠いような企業も多いのが現状でしょう。

日本経済のため、もちろん日本国のためにコーポレートガバナンスは非常に重要であると感じました。

投資家の方はもちろんですが、普通のサラリーマン、特に上場企業に勤めている方には、是非読んでもらいたい1冊です。